FM Alexander
F.M.Alexander
            その2                              前のページ 次のページ



ロンドン風景
London


Dewey and Alexander
Dewey and Alexander
 ・・・と、ここまでは他人にはどうでもいい話なのかもしれません。
 それにしても、この後の意外な展開は光明をもたらし、全人類に例外なく降りそそぎます。


自分の発声の仕方から「発見」をした氏は当初には、自分だけが特異体質なのかとも思ったようです。
それで試しに周りの人を観察してみたら、どうやら例外なく誰でもこの動きをやっていることを再「発見」しました。
生命体として根本的な部分に関わっていると判明しました。この「発見」から導かれた原理を意識的に応用できるようになれば、
いわゆる「病気」や様々な悪癖は改善へ向かい、問題がない人でさえ今以上に有効で効果的な動きが何処までも学習でき、
今うまく行っている人はますますうまく行くようになるとわかりました。
より多くの人に伝えるべきだというオーストラリアの医師や友人から後押しされて、1904年、英国ロンドンに移住しました。  

後日に「びっくり反射」と名づけられたこの動きは、生物の生存本能のひとつでした。
同時代の科学者もFM氏の仮説を裏付けるような発見をしました。ジョージ=コギル氏は米国の生物学者です。
20世紀初頭に行われたコギル氏の研究は、原始的な脊椎動物の動きはどのように発達するかというものでした。
実験結果に示されたのは「動作が調整され統合されるのは、全体のパターンである頭・首・胴体によってなされる。
頭からの動きが支配して部分としての四肢に伝わる。」というものでした。

ユトレヒト大学ではそのころ、ルドルフ=マグナス教授の研究が進んでいました。
頭と首の反射が動物でどのように起こるかというテーマに関して、彼の結論は、「全体のメカニズムが身体にあり、
その働きは、頭が先導し身体が追従するものである。」と述べました。というわけで、ここに2名の男がそれぞれ別の分野で、
それぞれ別の方法で、全く同じ発見を導いたようです。   それにしても、アレクサンダー氏は生きている人間で実際に起きる動きを
改善し、それを他の人にも伝えて、その人まで自分で自分を上手に使うようにする手法を編み出しました。頭-首-胴体の関係が
どれほど大事かということ、そして、その関係を応用すれば人は日常的にうまくやれるということを実践的に示しました。

動物とも実験してみました。
観察を進めると、その「発見」はありとあらゆる脊椎動物で見受けられました。
脊椎動物で有効ということは、人間有機体で有効です。
うまく行っている状態を、プライマリーコントロールあるいは中枢調整(Central Coordination)が
うまく働いている状態と呼びましょう。
その新しい動きが起きてくるようにFM氏が生徒さんへ手や言葉や全身を使って伝える際には、
「やる」ことというよりも、余計なことを「やらない」ように教えました。
ないことを指し示す呼び名がうまく見つからず、当初に「私の発見から導かれた原理を応用した当該テクニーク」とか、
「建設的に意識を用いて自己管理し自律する手法」などと、本人は呼称していました。
いつしか人は、アレクサンダーテクニークと呼ぶようになりました。

同じ手法を誰にでも気軽に勧められるものではないと、
当初FM氏は感じていたようで、しっかり自己変革の手法を理解した弟のAR氏や姪っ子、あるいはごく親しい弟子以外には、
自分の発見を応用して他人に教えることを禁じていました。

この発見を応用して、よりよい「自己の使い方」を他人に教えられるようになるまで習得するには、
自分と同じように長年の産みの苦しみを味わうことになるだろう。
そう思うと、なかなか踏ん切りがつかなかったと著作で回想しています。
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